ランキングの罠 (ちくま文庫)

現在の日本、各種のランキングが氾濫しています。書籍、雑誌、CDの売り上げランキング、飲食店の評価、といった比較的単純に算出されるものから、種々のデータを使い総合的にランク付けされるもの、例えば病院、銀行、地方自治体、果ては国家まで多岐に渡ります。これは日本人が元来ランキング付けするのが好きであるというのも大きな理由だと思いますが、果たしてこれらのランキングを鵜呑みにして、盲信してよいものなのでしょうか？例えばFIFAによるサッカーのランキング、随分改善されましたが、やはり疑問の残る部分はあります。TOELFの英語力のランキングはどうでしょうか？なんと日本はアジア30国の中では、27位でラオスより下位になるんです。これは、受験者数とその質に問題があると思われます。また、我が国の国際の信用力は、Aa1で上から4番目です。いかに日本の政治が安定せず、国家の財政再建が遅々として進まないとはいえ、欧米諸国のそれと比較して低いといわざるをえません。そして、卑近な例では、ミシュランのランク付け、これも？がつくものがかなり含まれています。ランク付けするほうもランク付けされる方にも相互にモラルが求められるのは当然ですが、著者の田村さんは、種々のランキングを例に挙げ、その各々に興味深い解説を加えています。そして、'@ランキングの結果を絶対視しない'Aランキングだけで判断しない'B1つのランキングだけで判断しない'Cランキングに関する情報がどの程度公開されているかを見る'D何のために実施されたランキングなのかを確認することが寛容であると結論付けています。