Ross組織学(原書第7版)

------前書きです。とばしてください------タイトルにも冠されているRoss博士は亡くなっており、今は医師でもある後継のPawlina氏が編集しています。原著は2016年。途絶えるかと思われた邦訳が再び出版されたことは喜ばしいです。最近まで医学生だった自分も実感していることですが、最近の医学生はあまり教科書を買いません（自分も含みますし非難しているわけではありません）。大学のカラーにもよりますが、興味ある科であっても成書を原著で紐解く人はかなり少なくなってきているかと思います。ギリギリ、試験対策やレポートを書く際に邦訳を参照するくらいの人が大半でしょう。医師国家試験対策として生まれた予備校のオンライン講座も低学年向けコンテンツを配信しめており、成書を紐解く意味を学生と教員が再考せねばならない時代になっています。------以下、レビューです------そんな時代にあって、CBTや国試といった試験合格のためだけならば本書は不要です。ですがこの教科書は、基本的な（つまり病理医向けではない）組織学の教科書として最高のものです。□アトラスと教科書が一体になっている□前提知識が少ない、基本からの記載□形態と機能、基礎医学的知見も交えた詳細な解説□豊富なフルカラー写真と同定アイコン□非常に分かりやすいイラスト□チャプターごとのまとめ□写真が多い本としてはかなり安価など、学生が求める機能が超充実しています。教科書パートが長ければ、まとめとアトラスページだけ読むといった勉強法も可能です。学生の時には不要でも、医師になると科によっては勉強が必要な細胞（myofibroblast, diffuse neuroendocrine system, etc..）の説明もちゃんと記載されています。□組織学や病理学が好きな学生□病理医を進路に考える学生や研修医□細胞や組織一般の知識が必要な研究者は、絶対に購入して損はありません！私も、学生の時に病理医志望の友人とアトラスページだけ輪読しました。